Gallery Wanderlust



12月18日(水)


「有元利夫展」 〜東京ステーションギャラリー〜



今でも有元利夫の作品は書籍や雑誌、カレンダーなど様々な印刷物として目にする。
最初に見たのはやはり「安井賞」で大賞を獲った作品であったと思う。その直後画家の死を知った。僕が大学生の頃だ。
藝大卒業制作1973年から死の前年の絶筆1984年まで、わずか10年ちょっとの活動期間であるが、有元の仕事は大きく3つの時期に分かれるような気がする。藝大卒業の73年から様々な試行錯誤を試みて「有元ワールド」を完成させる78年くらいまでが第1期、そしてその努力の積み重ねが一気に開花した「安井賞」受賞を挟んだ79年から81年が第2期、よく見る代表作がこの時期に集中する。そして若くして頂点に立ったことによるプレッシャーか、その後急速に画面から「迷い」が感じはじめられる。色彩、フォルムともに81年以降は精彩を欠く。82年から84年が第3期だ。
「上昇」「絶頂」「下降」どんな画家も生涯においてこれらの時期がある。要は「絶頂」をどれだけ長く維持するか…またはピカソのように「絶頂」を何度か繰り返し持ってくるかである…。
実際、晩年はものすごく悩んでいて「そこ」から抜け出そうと必死にもがく姿が画家の日記からも窺える。

この20年日本の洋画家に有元利夫が与えた影響は本当に大きいと思う。
具象絵画の閉塞した雰囲気に風穴を開け次の時代の画家の仕事をずいぶんとやりやすくしたのだ。そして風穴を開けた張本人が油絵出身ではなくデザイン出身であったというところが興味深い。しかしどんな時代、どんな仕事でもこの風穴をあけるという作業にはものすごい修練と勇気が必要なのである。
有元利夫はそれを見事にやってのけた。