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| 12月2日(火) アメリカ初のモダン・アートのスター、ニューヨーク派の中心人物ジャクソン・ポロックの生涯をアカデミー賞4度ノミネートの演技派俳優、エド・ハリスが構想10年、自ら監督・主演を務めた作品。
見所はなんといってもリアルな画家の制作シーンである。 アートコレクター、ペギー・グッケンハイムより依頼された新居を飾る壁画の制作では、巨大なキャンバスに向かって何週間も悶々とした後、一晩で一気に描き上げる。この時点ではまだ有名なドロッピングの技法を用いていないのだが、その迫力あるこなれた筆さばきは、エド・ハリス自身が実際にかなり描きこんでいる感じがした。彼はは自宅にアトリエをこしらえて絵を描く特訓をしたらしい。 そして、ついにドロッピングの技法を発見するシーン…冬の寒い朝、母屋からアトリエへ向かいストーブに火を入れる。床に広げたキャンバスになにげなく垂らした絵の具の文様を見つめるポロック…その偶然ともいえるきっかけは「絵の具垂らす、ぶちまける、まき散らす」という行為に進化し、ついにはアクションペインティングとして自らのスタイルを完成させる。このシーンから「2001年宇宙の旅」の冒頭に登場する猿人…動物の骨をなにげなくもて遊んでいたら、やがてその中の大腿骨を手にし、他の骨を砕き始める…道具としての発見、人類進化の始まりを象徴したあの場面を連想した。まさに20世紀アメリカの現代アートのさきがけを表現した印象的なシーンだ。 この映画でポロックは、絵を描いているか、酔っ払っているかのどちらかで、機嫌が悪くなるとまわりに当り散らす…そんな普通の生活人としては型にはまらない、非常にやっかいな人間として描かれているのだが、そんな彼の別の一面が表現されているシーンもあった。 運転中、道で傷ついた犬を発見し、町の獣医のところまで届けるポロック… また、食料品店でたまったツケを自らの作品で支払い、その帰りビールを何本も木箱に入れて、ヨロヨロと危なっかしく自転車で運ぶのだが、そのうちついに転倒してしまい、ビルびんは粉々に割れてしまう…。 どちらもポロックの画家以外の生活人としての一面を扱った場面である。 全体的には画家としてのポロックの人生を妻であるリー・クラズナーとの生活を中心に淡々と追っているのだが、こういった小さなエピソードを盛り込むことによって、物語としての陰影が増して、映画の完成度を高める助けになっているような気がした。 |